タクシーの仕事はお休みです。
 原稿仕事してます。
 次の出番は、15日水曜日です。
 出番のみなさん、がんばってください!
7時半出庫。
走行距離、460キロ。

●桜新町から丸の内(首都高速)10:35着 4340円
 宮崎の話から天皇の話まで話題はつきない。
 高速の走り方もレクチャーしてもらう。
 楽しい初老の紳士。
●駒沢から竹芝 21:00着 4100円 
 某芸能人をホテルへ。
●駒沢から深沢 22:45着 660円
 「声がきれいですね」
  と、女性客に口説かれる(?)。
  こんなシチュエーションは苦手だ。
  短距離でよかった。
●駒沢から貝塚 24:30着 6980円
 お客さんの道指定で遠回り。
 かなり早く帰られる道があるのに、聞く耳もたないお客さん。 
●桜新町から八王子(中央高速) 2:50着 15100円
 久しぶりの八王子。
 今日は夕食抜きでがんばったかいがあった。
 ちょっとふらふら。

国会議事堂

雨が強くなってきました。今日も事故に気をつけて走りましょう!

■ 携帯電話

「運転手さん! あのバスを追い越してくれませんか?」
 若い男性客が、荒い息を吐きながら言った。
 お客さんに「あの車を追ってください」と、言われるのは、それほ

ど珍しい事ではない。
 でも、それは複数台に分乗した時、前のタクシーをさす事くらい

だ。
 一度、タレントが乗った車を追って、と女の子の頼まれた事があ

るけれど、
 バスを追い越してくれ、というオーダーははじめてだった。
「やってみましょう!」
 訳はわからないけれど、こんな事嫌いじゃないから、僕もつい

テンションが
 上がってしまう。
「ありがとうございます!」
「どういたしまして!」
「迷惑かけます!」
「次、抜きますよ!」
「はい! 準備します!」
 え。
 準備って、何の準備だ。
 まさか飛び移るつもりじゃないだろうね。
 バス停で左に寄ったバスを僕はすっと追い抜いた。
「運転手さん、減速して!」
「は、はい!」

 ぴろりろりーん

「今だ!」
 と、叫ぶお客さんの声と同時になんとも間の抜けたメロディが

聞こえた。
 バックミラーを見ると、お客さんが追い抜いたばかりのバスを

携帯電話で撮影している。
「後ろのバスを撮ってるんですか?」
 お客さんに聞いてみた。
「はい、あったまにきて! もう、なんかできねえかなって!」
 かなり頭にきているみたいだ。
 バスを追い越したのは、僕の車だけだった。
 渋滞した道路なのですぐにまたバスに追いつかれてしまう。
「なんかあったんですか?」
「乗せてくれなかったんですよ!」
「えー!」
「そりゃあ、まあ、停留所から少しすぎてはいましたけどね。雨

が降っている中、必死に走って追いついたんですよ。それをこ

っちも見ようとせずに、マイクで、ここは停留所じゃありません

って冷たく言われて!」
「言い方にカチンときたんですね」
「そうそう! ドアを開けてくれなくても、いいんすよ。オレの方

を見て、すいませんけど、次のバスをご利用ください、なんて

言ってくれれば納得するんすよ!オレだってバカじゃないんだ

から。あー! 腹たつ!」
 お客さんは、また振り向いて写真を撮っている。
 バックミラーでバスを見ると、まだ若い運転手さんだ。
 憮然とした表情をさらに固くしてじっとこちらを見つめている。
 はっきり言って、不気味だ。
 どうして自分がタクシーの客に写真を撮られているのか、理

解しているようだ。
 今、後部座席で逆上しつつ、携帯カメラの鬼になっている、

お客さんが、もし、若くて可愛い女の子だったら、後ろのバス

の運転手さんは停留所を越えていてもドアを開けていたので

はないだろうか、なんてふと思ってしまったのでありました。